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上に立つものは 一番失敗している人間であれ

WEBchichi限定連載
【第17回】佐藤勝人 快刀乱麻を断つ 仕事と人生に役立つ実践的問答
——「やらない上司に厳しさはない」より

上に立つものは一番失敗している人間であれ

長年同じ職場で働いていると、いつの間にか役職が付いて、気づけば多少なりとも部下を持つ立場になっているものです。そして、多くの上司は部下に厳しく指導しながらも、自分は失敗を怖がる人間に少しずつ成り下がっていくものです。

挑戦しない。決断しない。責任を取らない。それでいて、部下には結果だけを求める。こうした光景は、どこの組織にもある。これはもう指導ではない。ただの〝圧力〟だ。

人は圧力では動かない。動いたように見えても、それは従っているだけで、心は離れている。やがて思考は止まり、挑戦は消え、組織は形だけのものになっていく。

さらに、この状態が続くと「挑戦しない文化」が生まれ、失敗を責められる職場では、人はリスクを取らない。無難にこなすことが評価され、波風を立てないことが正解になる。結果として、誰も前に出なくなる。これが衰退の始まりだ。

では、上に立つ者はどうあるべきか。私は「一番失敗している人間であれ」と考えている。失敗の数は、挑戦の数であり、決断の数であり、責任を背負った量そのものだ。逃げずに前に出ている人間ほど、失敗は増える。

だが、その積み重ねが経験となり、判断の精度を高め、組織を前に進めていく。だからこそ、言葉に重みが出る。自らも傷を負いながら前に出ている人間の言葉は、相手の心に届く。そこには納得があり、信頼がある。

一方で、自分は安全圏にいながら、部下だけを前に出す人間の言葉は軽い。そういう言動や態度に部下は敏感だ。この人は逃げているのか、それとも本気なのか。日々の言動の中で、その本質を見抜いている。

では、厳しさとは何か。それは言葉の強さでも、声の大きさでもない。背負っている覚悟の強さである。自分がやらないことを、部下に求めてはならない。自分が背負わない責任を、押しつけてはならない。その瞬間、どんな正論も空虚になる。

組織は制度や仕組みだけでは動かない。最後は「誰が上に立っているのか」で決まる。上に立つとは、指示を出すことではない。最も難しい局面で前に出ること。最も重い責任を引き受けること。

そして結果が出なければ、すべてを自分で受け止めることだ。その姿を見せ続けることでしか、人はついてこない。

そしてもう一つ重要なのが、「失敗の扱い方」である。失敗を叱る組織は、人を萎縮させる。しかし、怠慢を見逃す組織は、さらに深刻な停滞を生む。

挑戦の結果の失敗は、次に繋がる。だが、やるべきことをやらない怠慢は、何も生まない。だからこそ、上に立つ者は見極めなければならない。何が挑戦で、何が怠慢なのかを。ここを誤れば、組織は止まる。

結論はシンプルだ。部下に言う前に、自分がやる。部下に求める前に、自分が背負う。この当たり前の積み重ねが、やがて組織の文化となり、人材を育てていく。厳しさとは、他人に向けるものではない。まず、自分自身に向けるものだ。それができたとき、初めて言葉は力を持ち、人は動き、組織は前に進み始める。
組織は、トップの覚悟の強さで決まる。逃げるな。前に出ろ。それが、上に立つ者の仕事だから。 I’ll try my best.


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