「人に期待しない」という覚悟を持つ


WEB chichi連載【第9回】佐藤勝人 快刀乱麻を断つ 仕事と人生に役立つ実践的問答 ——「人に期待することはやめた!」より
経営とは、人と人との関わりの総和
私たちは、ついつい人に期待してしまうものだ。社員に期待し、お客様に期待し、取引先に期待し、果ては家族にまで期待する。しかし、その期待はほとんど裏切られる。成果が出ない。誠意が返ってこない。思った通りに動かない。すると、「裏切られた」と嘆く。
でもそれは違う。裏切ったわけじゃない。ただ「勝手に自分が期待しただけ」なのだ。それは親兄弟でも同じこと。相手は自分とは違う価値観や事情を持つ別人格。こちらの理屈通りに動くはずがない。そこに気づいたとき、私も吹っ切れた。「人に期待することはやめた!」と。
そこで勘違いしてほしくないのは、期待しないからといって人を切り捨てるわけじゃないということ。むしろ逆だ。「期待はしないが、人は大切にする」と決めた。 期待は裏切られるけど、人を大切にすることは裏切らない。そこに存在していること自体を尊重する。役職や結果を一度外して、相手を丸ごと認める。そこに人間関係の本質があるのだと。
特に経営の現場では「もっとできるだろう」「なぜ動かない」と社員に期待しがちだ。でも、その期待が強すぎると必ず失望に変わる。社員は萎縮し逃げ場をなくす。だから私は最初から期待しない。代わりに「今できていること」を認め、その一歩を評価する。 幹部も同じだ。幹部を理想の型にはめ込もうとせず、その人の資質を最大限に活かす土台を整える。それが経営者の仕事だ。人を押し込めず、活かすことにある。
私は何度も「期待外れ」を経験してきた。だが学んだのは、人に期待するから裏切られるのであって、期待しなければ裏切られようがないということ。その代わりに徹底して「人を大切にする」。その姿勢があると安心感が生まれ、組織は温かさを帯びてくる。
「諦めたのではない。覚悟が定まったのだ」
この境地に立てば、大抵の経営者は人間関係に振り回されない。社員一人ひとりを尊重し、現実をそのまま受け止めて経営を進められる。そこに強さが宿る。経営とは、数字を積み上げるだけじゃない。人と人との関わりの総和だ。
さらに言えば、経営の数字だって人間関係の延長線上にある。売上や利益の一つひとつは、社員やお客様との関わりの積み重ねだ。だから人に失望して愚痴を言う暇があるなら、現場に出て現実を見たほうがいい。数字の裏に必ず「人」がいる。その人を尊重し、大切にする。そこからしか真の成果は生まれない。
期待して裏切られる人生より、現実を受け止め、人を大切にして生きる人生のほうがはるかに強い。経営者はまずその覚悟を持つことだ。これこそが経営の本質であり、人間学の実践でもある。
そして何より「期待しない」という覚悟は、私たち経営者自身を自由にする。人を信じ、大切にしながら歩む。その姿は、社員に安心と勇気を与え、組織に新しい力を呼び込む。その姿勢を貫けば、会社は必ず強くなる。私はその真実を確信している。 Don’t miss it!
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